土地以外の自社株についても時価での課税が行われています。

こんにちは。

戦う税理士の小栗です。

7月5日に日経新聞社主催の

「事業承継カンファレンス」セミナーで

講師を務めることはすでに告知済みですが、

その準備で結構あわただしい日々を過ごしております。

最新のテーマでお話をしますので、

初めて聞く話も含まれている可能性がありますから

事業承継やM&Aなどにご興味のある方は

是非お越しいただければ幸いです。

ということで、

今日の「難しくてためになる話を優しく解説」するメルマガは

「土地以外の自社株についても時価での課税が行われています」です。

令和4年4月19日の最高裁判決で、

相続直前に不動産を購入して行った

相続対策が否認されたことは記憶に新しいところです。

また、その根拠となったのが総則6項という

「評価通達に基づいた相続税評価が著しく不適当である場合にはその他の評価方法を用いる」

といった伝家の宝刀が使われたことに

我々も衝撃を受けたところです。

最新の実務書によると、

この流れは不動産だけにとどまらず

自社株の評価についても

行われているということで

さらに驚いております。

この総則6項の

理論的なところを解説しようとすると

紙面がいくらあっても足りませんので、

事例をかいつまんでお話しします。

上場会社の株式を多数保有している

A社のオーナーであるB氏が

保有していた預金の大半を

この会社に出資をして

A社の株式評価額を

およそ半分の価値にしていたという

事例です。

問題点は色々ありまして、

まずは

①出資された資金がA社では証券投資信託、外国債、逓増定期保険などで運用されていたということ。

②その行為が相続直前で行われていたということ。

③この対策が金融機関主導で行われていたということ。

①については分かりにくいかもしれません。

相続の評価上は、

有価証券(株式)ばかり持っている会社は

有利な「類似業種比準価額」ではなく

原則として「純資産価額」で

評価をすることになっています。

証券投資信託や外国債、

逓増定期保険は

有価証券ではないということになっているので、

この対策をすることで

自社株の評価額が

約50%程度まで

引き下げられたものと思われます。

実は、この対策は

よく行われているもので

それほど珍しいことではありません。

やはり問題となっているのは、

この行為が

相続対策を主目的として行われたもので

容認し難いものであると

認定がされていることです。

ここで出てくるのが、

相続直前の対策実行であったことと

金融機関主導であったことになります。

金融機関の主導というところに

引掛りがあるのですが、

金融機関から

相続対策を勧められることは多々あります。

問題の所在は

金融機関というところではなく、

A社として

なぜそれを行う必要性があったのかという点が

説明しきれなかったところに

あったのではないかと

私は思っています。

さらにそれを裏付けるように

タイミングが相続の直前であったという点も

説明が苦しくなった原因でしょう。

他にも株価総額の問題や

出資金額の多寡など

背景には色々ありそうですが

ご注意いただきたい点を簡単にまとめてみます。

・事業承継には終わりがありませんから、できるだけ早期に着手して長期にわたって効果の出せる対策を検討すること。

・その対策が会社にとって個人にとって有益なものであり、節税だけを目的としたものではないことを十分に説明できるようにしておくこと。

この辺りがポイントになってくるでしょう。

テクニックだけの対策ではなく

ポリシーのある対策を立案していくのが

重要だという事です。

とはいえ、

ころころと対応を変えてくる

課税当局の姿勢も

租税法律主義の精神からは

問題だと思うのですが。

では、次回もお楽しみに。

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