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株式交付制度が利用できるのも今年の10月までです。
こんにちは。
戦う税理士の小栗です。
3月に入り、
もう春かな?と思えるような暖かい日も増えてきました。
期末で皆さんもお忙しいと思いますが、
季節を感じる余裕くらいは持ちたいものですね。
3月は私どもの業界では、
税制改正が3月末の国会で無事に法案が通るのかという
ギャンブル的な楽しみもあります。
とはいえ、
ほとんどは原案通りに可決がされるのですが。
ということで、
今日の「難しくてためになる話を優しく解説」するメルマガは
「株式交付制度が利用できるのも今年の10月までです」です。
令和5年度改正では
措置法の改正で
自社株式等を対価としたM&Aを行う際に
株式譲渡益の課税を繰り延べる
株式対価M&A税制について(いわゆる株式交付制度)、
株式交付親会社が
一定の同族会社に該当する場合が除外される予定になっています。
これはM&A税制で
法人税関係の改正ということになっていますが、
実は事業承継対策にとっても大きな改正点でもあります。
少し難しい話になりますが、
しばらくお付き合いください。
令和3年度改正により、
株式交付制度を用いたM&Aについて、
株式等を対価とする株式の譲渡に係る特例が創設されました。
これは簡単に言えば、
今までは「株式交換」制度を使って
100%子会社にするためのM&Aしかできなかったものが、
50%超だけを保有するM&Aにも
株式を対価にしたM&Aができるという大変便利なものです。
ここで話はガラッと変わりまして「持株会社」の話です。
持株会社は中小企業の自社株対策としては
既にポピュラーで
かつ株価対策の効果も大きい有効な対策なのですが、
実際に実行をしようとすると
反対株主がいるために設立ができないという企業もありました。
そこに出たのがこの「株式交付」です。
これを使えば、
一族で過半数超の株式を保有していれば、
その他の株主の同意を得ずとも
一族だけの持株会社を設立することが可能となりました。
本来はM&Aの手法なのですが、
これを事業承継対策に応用をしたという事ですね。
ところがわずか二年で
同族会社には門が閉ざされてしまいました。
全国的に一気にこの対策が広まったためだと思います。
色々と情報を集めてみると、
すでに保有している不動産管理会社に
本体の会社をM&Aさせて
株価を大幅に引き下げた事例や
一族が新設した法人を利用し、
株式交付の後に
その会社に不動産を所有させるなど
従来手法の変型版が色々と紹介されております。
もともと持株会社と不動産は
相性がよく効果も高いのですが、
行き過ぎた同族会社の対策が
短期間での改正につながったようです。
今年の10月までという
期間が設けられているところが
ポイントかもしれませんね。
以前よりメルマガでも
ポリシーなき節税、
いわゆる経済合理性のない対策は
危険ですという話をしているのですが
税制改正が行われるという事は
かなりの数の対策が実行されたことは
容易に想像ができます。
講釈が長くなってしまいましたが、
「株式交付」は今年の10月まで、
従来型の持株会社の設立(株式移転・株式交換)は
影響なしという事は
知っておいていただきたいと思います。
では、次回もお楽しみに。