10月1日から上場株式の配当特例が大きく変わります。No.950

戦う税理士の小栗です。

9月の声を聴くと、まだまだ暑くても虫の声が聞こえてきますね。

今年は暑すぎて蝉の声を聴くことが少なかったような気がします。

さて、個人の所得税(住民税を含む)は最高で55%です。

それに比べて不動産の譲渡所得税は原則として20.315%ですし、

上場株式からの配当金も20.315%です。

資産を持っていて、さらにその資産に働かせると

安い税金で効率よく運用ができるのが今の税制です。

これがいわゆる「金持ち優遇税制」だと批判が多いのも事実です。

それを踏まえて今年の10月1日から、

この配当金に対する優遇税制が大きく変わります。

特に上場会社のオーナーなどは大きな影響を受ける可能性が高いです。

ということで、今日の「難しくてためになる話を優しく解説」するメルマガは

「10月1日から上場株式の配当特例が大きく変わります」です。

上場株式等に係る配当所得等の課税特例とは、

課税方式を①総合課税、②申告分離課税、③申告不要から

いずれかを選択できる制度です。

ただし、その条件として“持株割合3%未満”とされていて、

持株割合3% 以上 の大口株主の場合には同特例の対象外となり

①の総合課税のみが適用されることになります。

今までは、この3%外しとして

「同族会社に持株の一部を譲渡する」手法が広く使われていました。

例えば個人で4%の株式を保有していたとすると、

1.1%を自身が所有する同族会社に譲渡をすれば、

個人の保有株式は2.9%となり

20.315%の分離課税が使えるというわけです。

配当所得だけで数千万円あるいは数億円を受け取る上場会社の大株主などは

大きな節税手法となっていたのです。

どうでしょう。

それほど複雑な手続きを経なくても十分に効果が出せていたわけです。

10月1日からどうなるのかというと、

この同族会社の分も含めて3%を保有しているかを判定するので

効果がなくなってしまいます。

ちなみに同族会社というのは、

上位3株主が発行済株式等50%超を有する法人のことを指します。

通常は身内だけの会社を設立して譲渡をしますから

ほとんどのケースで効果がなくなると思われます。

しかし、これで大口株主の節税策は蓋がされたのだろうと思うのは早すぎます。

すでに巷では、同族会社が規制をされたのであれば同族会社でなければいいのだろうと、

あらたな手法の開発が行われております(いずれ改正はされるのでしょうが)。

メルマガで何度も書いておりますが、

税制改正が行われる時は世の中で相当数の方々がすでに実行をしている時です。

そしてその流れを読み切れず、

規制がされてからはじめて、以前は規制がされていなかったことを知るという方が大勢いらっしゃいます。

私がセミナーなどで、実行するかしないかは別にして

情報だけは常に近い所で受取れるようにしておいてくださいとお話をするのは

こういった意味合いがあるからです。

私ども税理士法人STRも常にアンテナを張り巡らせて、

常に勉強をしておりますが、税制だけは生き物のように形を変えて進化をしていきます。

お困りごとがある時にはいつでもご相談ください。

では、次回もお楽しみに。

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