戦う税理士 小栗のメールマガジン 
「自社株に相続があった時の法律を整理してみました(後半)」No.972

皆さん、こんにちは。戦う税理士の小栗です。

今日のメルマガは前後編の後編となっておりますので、まだ前半をお読みでない方は、

ぜひ前回のメルマガをお読みください。

自社株に相続が発生すると「準共有」といって

誰がその株式の議決権を行使できるのかが問題になりますよ、というのが前半のお話でした。

ということで、

今日の「難しくてためになる話を優しく解説」するメルマガは

「自社株に相続があった時の法律を整理してみました。(後半)」です。

事件の前提を少し整理しておきますね。

・発行済株式2,000株の会社で、お父様は1200株を持ったまま亡くなりました。

・遺言はありませんが、生前にご長男(現社長)に800株を生前贈与してありました。

・相続人はお母様と長男、次男です。

法定相続分で分けるとするとお母様600株、長男300株、次男300株ですから、

長男は自分の800株と合わせれば1100株で過半数を超えますから経営は安泰だと思っています。

・ところが相続が発生すると、お母様と次男は相談をして1,200株の議決権は自分たちが行使できるとして、

長男を追い出して自分たちが代表取締役になってしまった。

こういうお話です。

ほとんどの方が長男はすでに40%の800株を持っているのだから、

こんなことが起こるわけがないと思います。

ご長男もそう思っていたことでしょう。

しかし、「準共有の自社株」については、その権利を行使できるのはその株式に対して

過半数の支配権を持っていることが条件となります。

つまり、このケースだと法定相続分でいうと、

お母様が1/2 長男、次男は1/4ずつということになります。

お母様と次男が同じ考えだとすると、1/2+1/4=3/4 となり過半数を超えるので

1200株のすべての権利を行使できるようになります。

となると、株主総会でもお母様側は60%、長男側は40%ということになり

社長である長男が解任されてしまっても不思議ではないわけです。

どうですか?皆さんもまだ狐につままれたような感じでしょうか。

でもこれが自社株の恐いところであり、

事前の対策を間違えると取り返しのつかないことになるポイントの一つです。

いつも私が事業承継対策には

・「議決権の対策」 と

・「株価の対策」 の二つがあり、

これらのバランスを考えて最適な対策を考えることが必要ですと言っているのは、

このような理由があるからなんです。

事業承継は奥が深くて答えがない世界です。

どうしたらよいのか分からなくなったら、ぜひSTRの相続事業承継チームにご相談ください。

では、次回もお楽しみに。

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