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パナマ文書に続くパンドラ文書をご存知ですか?
こんにちは。
戦う税理士の小栗です。
今年の税制改正にも
富裕層の税率が低すぎることを
将来的には是正していくというような
方針が書かれています。
これは金融税制の税率が低いので、
結果的に金融資産を多額に持っている資産家の
税率が相対的に低くなっているという事を指しています。
私は投資を促すという意味では
金融税制が低いことは間違っていないと思うのですが、
この風潮は世界中で共通なようで、
富裕層の節税への想いは変わらないようです。
ということで、
今日の「難しくてためになる話を優しく解説」するメルマガは
「パナマ文書に続くパンドラ文書をご存知ですか?」です。
パナマ文書のことは知っていても
「パンドラ文書」は知らないという方も多いのではないでしょうか。
いかがでしょうか。
パンドラ文書を知っていたら
なかなかの国際課税通だと思います。
パンドラ文書は昨年公表されたものですが、
国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が
入手した情報を
同社のホームページで公表したものです。
そこには何が書かれているかというと、
各国の首相や大統領から著名な資産家が
海外(オフショア)の低税率国、非課税国などを利用して
運用をしたり不動産を所有したりと
かなり複雑な取引を使い
課税を逃れているという事実を公表したもので
話題になりました。
パナマの法律事務所から流出した
パナマ文書ほどマスコミも取り上げませんでしたから、
あまり聞いたことがないかもしれませんが、
リークされた情報量の多さは
パナマ文書の比ではありませんから、
当事者として名指しされた資産家も
違法性はないなどと
説明をせざるを得なくなるなど
なかなかインパクトがありました。
国際課税は私の専門ではありませんが、
タックスヘイブン国(非課税国)を利用した
租税回避スキームなどは
興味を持って勉強をしておりますので、
今回のパンドラ文書も
面白く調べさせてもらいました。
ここで一つはっきりとさせておかなければならないのは、
適法に行われているオフショア取引は
脱税ではないという事です。
国際的に問題となっておりますので、
課税強化はされていくでしょうが、
一部の富裕層の人だけが
このようなスキームをすることができるという事が
問題なわけです。
さて、
今回のパンドラ文書ですが、
私も勉強不足を反省しましたが、
今までこれらの租税回避の舞台となっていたのは、
スイス、シンガポール、バージン諸島といった
いわゆるタックスヘイブン国が中心でした。
ところが、
今回の文書を解析してみると舞台となっているのが米国なのです。
「米国がタックスヘイブンなどという話は初めて聞くぞ?」
こんな方が多いのではないでしょうか。
今回の舞台は米国の
デラウエア州、フロリダ州、サイスダコタ州、ネバダ州といった州が
富裕層に利用されているという事です。
デラウエア州に法人を設立するという話はよく聞くのですが、
少し調べてみると注目はサウスダコタ州です。
この州は法人税がかからず、
さらに信託財産の相続は非課税か低税率になっています。
なるほど、
さらに調べるとこの10年で
同州は信託財産が4倍にもなっているのです。
米国や海外の資産家が
サウスダコタ州に財産を集めているのですね。
正直なところ、
私も米国がタックスヘイブン化をしていることが
明らかになったのは
少々ショックな出来事でした。
これから国際課税問題も本格的に変わっていくことでしょう。
税理士法人STRでは、
監査法人の国際部門との連携で
国際課税は対処をしているのですが、
海外資産を普通に持つようになってきた世相を鑑みると
もう少し勉強を進めようと思った次第です。
では、次回もお楽しみに。