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賃貸不動産を利用した相続対策が最高裁で納税者敗訴です。
こんにちは。
戦う税理士の小栗です。
今日はあまりにも反響が大きく、
ご質問が多い話題を取り上げてみましょう。
ヤフーニュースなどでも
大きく報道されましたが、
相続対策のために
賃貸不動産を購入した納税者が
その相続対策効果を
認めてもらえなかったという話です。
ということで、
今日の「難しくてためになる話を優しく解説」するメルマガは
「賃貸不動産を利用した相続対策が最高裁で納税者敗訴です」です。
4月19日、
注目すべき最高裁の判決が下されました。
簡単に背景を説明しておきましょう
被相続人が、
相続前に借入金で高額(14億円ほど)な
賃貸不動産を購入した。
不動産の時価は
相続税評価額の約4倍程度であった。
この不動産を購入したことで
相続税はゼロになった。
相続発生から約8か月後に
相続人は一部の不動産を売却して借入金を返済。
不動産を多く所有している資産家が
借入金で賃貸物件を建築するという事は
よくあることですから、
この事件の背景に
特に問題があるとは思えません。
しかし、
税務署は相続税の申告にあたって
不動産の評価は
いわゆる評価通達による路線価ではなく
「時価」によるべきであるとして
否認をしました。
そして、
国税不服審判所、
東京地裁、
東京高裁と納税者が負け、
これが最高裁に上告されていたわけです。
このニュースを受けて、
「もうアパート、マンションをつかった相続対策はできなくなってしまうのでしょうか?」
「今所有しているマンションはどうすればいいのでしょうか?」
といったご質問が殺到しているのが現状です。
まだ詳細に判例を読んだわけではありませんので、
断定的なことは言えませんが、
これからの実務に
何らかの影響があることは
間違いないでしょう。
しかし、
不動産の評価が「時価」に
統一をされたという事ではありません。
私は、
今回の判例は
ある意味では
特殊なケースの一つだろうと思っています。
例えば、
・非常にご高齢な資産家が高額な物件を相続前の数年間にいつくも借入金で購入をしている
・相続が発生して、数か月後に不動産を売却して借入金を返済している
・金融機関の稟議書に相続税対策のための購入と明記がしてある
これらを総合的に見ると、
判決の趣旨である
相続対策を目的とした投資であり、
他の納税者との間で
著しい不公平を生じている、という言葉にも
納得してしまうところです。
特に、
金融機関への反面調査で
相続税対策という目的が記載された
資料が出てきたのは
問題が大きかったかもしれません。
購入時期も
相続前の3~4年前と
直前の駆け込み対策とは言い難い時期です。
ポイントは3つだと思っています。
① 不動産購入の時期
② 不動産売却の時期
③ 節税の意図の有無
今後はこれらを総合的に考えた
相続対策の提案が必要になってきますから
頭の痛い話ですが、
プランニング段階での
専門家の必要性がより
クローズアップされてきそうです。
では、次回もお楽しみに。