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M&Aと税務調査の注意点についてお話をします。
こんにちは。
戦う税理士の小栗です。
夏らしくなってきて梅雨入りも発表となりましたね。
私どもでは
STR M&Aセンターという
M&Aを専門で行う部門があります。
マッチング企業の選定から
買収企業のデューデリジェンスや
実務をこなすのですが、
最近ではよく知っている会社同士のM&Aなので、
これらの手続きを省いて
コストを抑えようというケースも増えています。
今日はそのようなケースで
買収後の税務調査についての注意点をお話してみます。
ということで、
今日の「難しくてためになる話を優しく解説」するメルマガは
「M&Aと税務調査の注意点についてお話をします」です。
相変わらずM&Aの市場は活発です。
売手不足買手不足といった時期もありましたが、
それもかなり解消がされてきているようです。
今回は買い手側からの視点で読んでいただければと思います。
M&Aの実務では
各種の面倒な手続きがあるのですが、
通常M&Aを実施する時には
デューデリジェンスといって、
その企業の財務が健全であるのか
隠れたる負債は存在していないのかなどの調査を
専門家に依頼して行います。
時間も数日から数週間かかることが多いので
費用もそれなりにかかります。
それで結局さしたる問題点もなかったということになると、
費用がもったいなかったなと思われる経営者も多いようです。
そして、
無事に株式の売買も終わりM&Aは終了しました。
企業文化の違いも克服して
順調にグループとして機能もしています。
良いM&Aだったなと思っていたところに
買収した企業に税務調査が入ります。
この段階で過去の税務処理が不適当であったということで
過大な追徴税が発生してしまいました。
このような経緯をたどってしまったのが
UCCホールディングとシャディのM&Aです。
さて、
M&A後に税務調査があることくらいは
珍しいことではありません。
何が問題だったのでしょうか。
M&Aの場合には「表明保証」といって
M&A前に重大な説明違反などがあり発生した損害については
売手側が後日でも支払うという契約条項がついています。
買手のUCC側は
こんな否認がありうるとは想定していなかったし、
説明も受けていない、といって
損害賠償を請求します。
売手側は、
ちゃんと資料は提出していたし、
そもそも否認されるなどということは
想定外なのだから支払う義務などない。
と真っ向から対立です。
加えて面白いのは、売手側の主張です。
税務調査を受けて
争いもせずに勝手に修正申告を出しておいて
税金をこちらに払え
などというのはおかしいと主張しています。
最後の部分は「ごもっとも」と
妙に納得してしまいました。
結局何が言いたいのかということですが、
M&Aに絶対に安心ということはあり得ません。
この事件のケースでも
大手企業同士のM&Aですから
優秀な専門家がデューデリジェンスを実行しているはずです。
そこまでしていても問題は発生するのです。
お互いに問題として認識していないのではなおさらです。
「何も問題はないだろう」からスタートすることが
いかに危険であるかが
お分かりいただけるのではないでしょうか。
お互いに誠実に資料を出し合って、
想定されうる事態については十分に話し合っておく。
これにつきます。
特に買手はリスクも考えた
買収金額を検討することが重要ですね。
では、次回もお楽しみに。